Michiyo’s Journal

ハンガリー紀行 Vol.6

マーチャーシュ教会の中は見たことのない様子だった。外側はウイーンのシュテファンスドームみたいな感じなのに、中は派手な配色の唐草模様だったりするのだ。西洋と東洋の入り混じった不思議な感じ。何度も異民族に統治され、こんな不思議な組み合わせになったのだという。こみいったステンドグラス、この間ステンドグラスを初めて作ってみたから、これがどんなに時間をかけて作られたものかよくわかる。教会の奥には今度は聖人の足が展示されていた。足の端はなくなっていたが、かかとの骨のしっかりした足の骨。きっとよく歩き回ったのだろう。丈夫そうな体つきを想像することができた。
戦争や、共産主義統治下で壊されたりした後修復されたという教会は、修復に費用がかさみ、そのために入場料を必要とするようになったという。居心地のいいその空間に、一日中でも座っていられるような気がした。

教会を出ると私たちは近くのカフェテリアで昼食をとった。ケーキのあと、空腹を感じなかった私は、郷土料理というフルーツスープとサラダ。フルーツスープは甘かった。これはデザートではないの?と私がいうと、井崎先生は、こちらの人はこれを食事の前に食べるんですよ、とにっこりした。
その井崎先生がとったのはラザニアみたいなライスだった。20センチ四方もありそうな量。井崎先生は肩幅があり、筋骨たくましくて、指揮をするには体力がいるのだろうから、そりゃあそのくらい食べられるのだろうと思いきや、最後には音をあげられていた。Kさんたちもスープとサラダだったが、仲良く全て半分ずつにされていた。Kさんたちは、父よりも年上なのだ。これだけ動き回って、よくお元気で居られるなあと感心するが、さすがに食事の量は少なかった。Kさんはすっかりプダペストが気に入り、もう一度絶対来ます、こっちに少し住んでみたいと、目を輝かしていた。広場で楽隊がハンガリー舞曲を演奏していた。
昼食を済ますと山を降り、私たちはソルノクへと向かった。井崎先生が一時間以上の運転で運んでくださった。そうしてついた街、ソルノクは川べりのとても静かで落ち着いた街だった。
ホテルに荷物を置くと、川べりを散歩した。川のそばにカゲロウの像があった。あの橋もカゲロウをかたどってるんだよ、と井崎先生が言う。なぜ、カゲロウ?私はまた思いつきを口にした。
『この街の人たちは自分の祖先をカゲロウだと思ってるんですか?』
なにそれ、と井崎先生は笑った。真面目に聞いたのに…アメリカンインディアンは自分の祖先が動物だと信じて崇拝しているというから、こんなにカゲロウだらけでいるなんてきっとそうだと思ったのだ。
『カゲロウが一斉に孵化する日にカゲロウ祭りもあるんだよ』
うん、きっとここの人たちはカゲロウの精の子孫なんだ、と、もう私は口にせずに心の中でうなづいた。そう思うと、なんとなくそこを歩いている人たちの背中にうっすらと羽が付いていてもおかしくない気がした。

すれ違う人が、井崎さん、と言って頭をさげる。こちらの人も頭をさげるのかな。それとも日本人の井崎先生に敬意を表しているのだろうか?

ハンガリー紀行6

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2016-06-16 | Posted in Michiyo’s JournalNo Comments »