Michiyo’s Journal

ソウル紀行 Vol.2

翌日はほぼ一日中ホテルで寝ていた。食事に起きるだけ。雨は上がっていたが、どんよりと曇った空だけが居室の窓から見えた。家人は出かけては帰ってきたが、私は夢うつつでよくわからなかった。その翌日も昼まで眠って、昼頃やけに元気に目を覚ました。熱は下がっているようだった。復活!せっかく来たのだから、見て回らねば。すでに外に出ていた家人と落ち合い、私たちはチョンミョ神社へと出かけた。

着くと2時36分、ちょうど2時40分から日本語でのガイドツアーがあるという。そのツアー以外で入ることは許されないらしいことを知って、私たちは幸運に驚いた。ガイドの女性は達者な日本語で案内を始めた。
ーここは歴代王様たちと、王妃たちの位牌が祀られているところです。王様がなくなって3年間は王宮で悲しみの儀式がおこなわれますが、3年経つとこちらに移り、ここでの儀式は嬉しい儀式になります。毎年2回5月と11月の第一日曜日に今でも祭祀が行われていて、どなたでも無料で見学できますので、ぜひいらしてください。この真ん中の道は、右側が王様、左側が皇太子の歩く場所で真ん中は亡くなった王様の魂が歩く場所なので、そこは通らないでくださいー

日本の神社も鳥居の真ん中は神の通る道とされて通ってはいけないと言われている。どちらが先か、多分こちらの風習を日本が習ったのだろう。その道だけ黒い石でできている。この石は何かと聞くと、ガイドさんは焼き物だと答えた。敷地に入ってすぐ右手の池の真ん中に大きな木が植えられていた。韓国の国の木は松、花は葵とおととい誰かが言っていたと思い出しながら、あれは松なのかと聞くと、あれはいぶきの木で、チョンミョを代表する木だという。伊吹は香木で、芯が赤く、魂を迎える儀式の時に焚くのだそうだ。チョンミョの中には風水の観点から水を足すために池が3つあるそうだ。その池の中心に、象徴としていぶきを植えているのだ。後から調べてみると、いぶきという木は日本でも霊場や神社に植えられているようだ。白檀と同じとも違うとも書かれている。諏訪大社にも植えられているそうで、もしかしたら昔はいぶきがご神木になっている場所でも、お香を焚いたのかもしれないな。
続いてガイドさんに案内された場所は、王様が身を清める場所だった。身を清めて祭祀用の服装に着替えるのだという。向かって左側の建物で身を清めて体を拭き、真ん中の建物で着替えるというのだ。驚いて私は尋ねた。
『じゃあ、王様はこの間を裸で移動したのですか?』
ぎょっとした顔で違います、身を清めてから普通の服をもう一度来て、それから着替えたのだと言いながら、5年間ここのガイドをしてきたけれど、そんなことを聞かれたのは初めてです、と、ガイドさんは笑った。
王様の祭祀用の服装が展示されていた。肩の上に白い丸いものが外付けの肩パッドのようについている。顔の前には色とりどり玉すだれ。
『これは王様の目線を隠すためのものですか?』
と、言うと、ガイドさんは答えた。『いえ、これは、見ないようにするためです。いろんなものを見てすぐ判断しないように、よく考えて行動するように、という理由です。』
なるほど。よく見ないと判断できないような気もするけれど、見えないと瞬間の判断で行動することは確かに減るのかもしれない。

 

 

 

2016-07-11 | Posted in Michiyo’s JournalNo Comments »