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2016-06-07

イスラエル紀行 Vol.1

また旅に出た。歌いに来たのだ。出国前に相変わらず原因不明の高熱が出たり入ったりしたことと、渡航先のイメージを心配して、両親には行き先を告げずに出国した。ある種子供達を溺愛している両親は、知ればきっと病気になって寿命を縮めてしまうと思ったからであった。

渡航先は、イスラエル。嵯峨野の大覚寺の大僧正、斑目さんが、この地にプラネタリウムを寄付されたのだ。私はそのこけら落としのセレモニーで歌って欲しいと呼ばれたのだ。いつもミサで歌っているエルサレム、ベツレヘムを見られる!私の心は踊った。それでも念のため私は聞いた。
『危険はないのですか?』
斑目さんは笑っておっしゃった。
『良いところですよ、日本と変わらない。安全です。』

またぶり返した熱に少々フラフラしながら、私はイスラエルに着いた。入国検査はあっけないほど、のんびりとしていた。係員たちはとても親切で、真夜中に着いたからか、あっという間に空港の外へ。空港には斑目さんを歓迎して、現地の会社の社長さんが迎えに来てくださって、30分ほどのドライブの後私たちはネタニアのラマダホテルに到着した。翌日の待ち合わせの時間だけを決めて、それぞれ部屋に引き取った。順調な1日目。

翌朝、時差のために早く起きた私は早速朝食会場へ。ビュッフェスタイルの朝食会場には、たくさんの見たことのないものが並んでいた。私は知っている食べ物には目をくれず、知らないものを片っ端から皿に乗せた。いろんな色のペースト、見たことのない塊。いったいこれはなんだろう?隣のテーブルを片付けに来たボーイさんに私は尋ねた。
「これはなんですか?」
「知りません」
知らない?と驚くと、えっと、と口ごもる。多分英語を知らないのだろう。それ以上追求せずに、とにかく食べてみた。うん、美味しい!なんだかわからないけれど、美味しい。

窓の外には保養地らしい海岸線が向こうまで伸びている。そのこちら側をベビーカーを押して、小さな子の手を引いて女性が歩いている。なんと平和な光景!日本で想像もしなかった平和さである。この国のどこかで争いがあるのを知っていても、人々はこうして関係なく平和に暮らしているのだ。世界のどこかで戦争をしていても、関係なく平和に日本で暮らすのと同じ感覚かしらとふと思う。時々車が通る道路の上で二羽の鳥がゴミをつついている。とてもカラスに似ているけれど、グレーと肌色のツートンカラー。肌色の土の上ではこれが保護色になるのだろうか?ガーガーとなく声はカラスそのもの。こちらのカラスなのだろうか?この肌色のような石はエルサレムストーンと言うのだよと、斑目さんが教えてくださった。

続く

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